花粉症の治療、舌下免疫療法について|たきもと内科クリニック|京都市山科の内科・消化器内科・糖尿病内科

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花粉症の治療、舌下免疫療法について|たきもと内科クリニック|京都市山科の内科・消化器内科・糖尿病内科

花粉症の治療、舌下免疫療法について

舌下免疫療法について。
皆様、少しずつ朝夕は秋を感じるようになりましたがいかがお過ごしでしょうか。まだまだ今日の外来でも新型コロナウイルスやインフルエンザA型の方、多数おられました。学級閉鎖のクラスも増えてきましたね。子供さんから大人が感染することも多くありますのでご注意ください。本日は、スギとダニのアレルギー治療、舌下免疫療法についてブログを書かせていただきます。
国民病とも呼ばれる花粉症ですが、今年の春、過去にないほどのスギ花粉が飛んだようで、2月から4月までたくさんの花粉症、アレルギー性鼻炎の方が外来受診されました。アレルギー性鼻炎には季節性と通年性とあります。アレルギー性鼻炎は、ダニやホコリなどが原因で1年を通して鼻炎症状が認められる「通年性アレルギー性鼻炎」と、スギやヒノキの花粉などが原因で、花粉の飛散時期だけに鼻炎症状が認められる「季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)」に分けられます。治療法は抗アレルギー薬(アレグラなど)なのですが、前者はほぼ毎日、一生飲まなくてはならず、また後者もその時期になるとかなり苦しむこととなります。そこで今回おすすめしたいのは「舌下免疫療法(SLIT)(Sub-Lingual Immuno-Therapy)」です。免疫療法は、その原因となる物質(アレルゲン、抗原)を体内に少しずつ取り入れて、体を徐々にアレルゲンに慣らしていって抗体をつくり、根本的なアレルギー体質を改善することが目的な治療法です。
2014年に舌下免疫療法が開始されるまで、減感作療法といえば注射による「皮下免疫療法」(SCIT)(Sub-Cutaneous Immuno-Therapy)が主流でしたが、舌下免疫療法のほうが簡便で痛みが少なく続けやすいため、結果的に治療効果が高くなりました。また2023年現在次の症状の治療薬があります。スギ花粉症(薬品名「シダキュア」)。ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎(薬品名「アシテア」および「ミティキュア」)です。
舌下免疫療法のメリットは、臨床試験の結果では約20%の方は症状がなくなり約60%の方は症状が改善 しました(残念ながら約20%の方には効果がありませんでした)。体内に免疫をつくる治療法ですので、根治が期待できます。さらには、アレルギー体質の方は様々な物質にアレルギーがありますが、一つ改善すれば多くのアレルゲンに対しても効果があるともいわれています。Demeritは治療には3年~5年、毎日治療薬を飲み続けなくてはなりません。皮下免疫療法より頻度が少ないことはわかっておりますが、アナフィラキシーなどの重大な副作用が生じる可能性を否定できません。
治療の流れは以下のとおりです。
(1)診察、診断
通常の診察を受けていただき、治療が可能かどうかの採血や問診をおこないます。
あわせて、次回の診療日(アレルゲンの初回投与をおこなう日)を決めます。
(2)アレルゲンの初回投与
当院にてアレルゲンの初回投与をおこないます。投与の後は、約30分間、当院で経過を見ます。
(3)はじめの7日間(開始期)
薬は、1日1回、舌の下に1~2分間保持した後、飲み込みます。その後5分間はうがい、飲食をひかえてください。なお、こうした基本的な投与のやり方は、その後もずっと変わりません。はじめの7日間は、投与するアレルゲンに対して体に慣れさせます。
(4)8日目以降(増量期)
2週目からは、毎日同量の薬を投与し続けます。1日1回分を舌下に投与し、これを3~5年間継続します。
費用:初回は検査などを含めて3割負担の場合、4,000~5,000円です。その後の費用は1ヵ月あたり2,000~3,000円の負担となります。
舌下免疫療法が我国にされて9年を超えた状況です。これまでの報告により、治療効果も、これまでの対症療法より高い結果が確認されており、治療期間も長く、手間のかかる治療法ですが、何といっても根本的治療である点が良いと思います。現在5歳からのスギ、ダニの舌下免疫療法が承認されており、小児からの早期介入、早期寛解が実現すれば、根本的治療としてアレルギーマーチの進展を阻止することも可能となる可能性もあります。当クリニックでは先月から、SLIT講習をうけて、内科では数少ない舌下免疫療法施行可能施設となりました。効果がでてくるのが半年後ともいわれていますので、スギ花粉症の症状に苦しんでおられる方は早めにご来院くださりますようよろしくお願い申し上げます。ダニアレルゲンは、ハウスダストの一部ともいわれていますので、ハウスダストのアレルギーの方も一度ご相談ください。