紅麹サプリメント|たきもと内科クリニック|京都市山科の内科・消化器内科・糖尿病内科

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紅麹サプリメント|たきもと内科クリニック|京都市山科の内科・消化器内科・糖尿病内科

紅麹サプリメント

皆様こんにちは。桜はもう葉桜になってしまいましたが、暖かくなって過ごしやすい時期となりました。一方でヒノキ花粉やPM2.5、黄砂なども飛んでおり、アレルギー性鼻炎がまだまだ続く時期ですのでお気をつけてお過ごしください。
本日は、少し話題提供が遅くなりましたが、小林製薬の紅麹サプリメント、コレステヘルプの話を少ししたいと思います。当クリニックでは、2人の方が紅麹を数ヶ月飲んでしまったとの相談をされた方がおられました。一人はまさしくテレビででているコレステヘルプを持って来られ、もうひとりは生協で購入の健康食品、裏をみると紅麹と書いてあり、生協に相談すると小林製薬からの紅麹とのことで心配で来院されました。現在十数人の方が死亡、200人強の方が入院したとの報道がありましたが、そのお二人は採血、尿検査など大きな問題なく経過しており安堵しております。慎重にフォローアップしていく予定です。
紅麹サプリの中のかびから発生するプベルル酸(初めて私も聞きました)という成分は抗生剤(抗マラリア剤)の成分でもあり、それで腎障害を生じるのではという推論ですが、まだ証明はされておらず、今後も証明するのは難しいともいわれていますが、今回少しお話させていただきます。
腎臓の働きは、体内の老廃物排泄と、水、電解質などの調整維持です。ネフロンという構造からできていて、ネフロンは糸球体と尿細管から構成されています。このうち近位尿細管が侵されて、続発性Fanconi症候群を発生させた原因が紅麹サプリメントです。
治療はまずは原因薬剤の中止、対症療法で、悪化すれば透析治療です。おそらくこのサプリメントは多くの方が飲まれていそうなので、腎障害を発症したのは一部(蓄積ではなく急性障害といわれています)だと推測します。しかし心配なのはもともと腎機能が低下している方が、さらに腎機能が悪化してしまい、元に戻らなくなることではないかと思います。
慢性腎臓病(CKD)の方(以前テレビのコマーシャルでされていました。女優の檀れいさんがでていました)は日本人の8人に1人生じる生活習慣病でかなりの人数の方がおられます。ネフロンの数は生まれつき決まっており、健康な方でも老若男女問わず、eGFRは毎年1ml/min/1.73mm2ずつさがっていくといわれています。高血圧、塩分過剰摂取、糖尿病などがあれば、その下がるスピードが早くなり、また回復しないとされております。そんな悪条件の中、一時的とはいえ、このサプリメントでさがってしまった腎機能(eGFR)はなかなか元に戻りにくいのではと危惧しております。今回の件で、国や厚生労働省もサプリメントや機能食品について、今まで自己申請だったのを規制するみたいですが、いつもなにか起こってから対処するという印象を拭えません。
小生のサプリメントの意見を少し述べさせていただきます。病院勤務医のときは、がんの末期の方がおられて、サプリメントを飲んでいるかつサプリを信じている方がかなりおられました。(このサメの軟骨を飲めばがんが消えたと宣伝していた)とおっしゃっていました。私は心のなかではサプリメント反対でしたが、患者様はわらをも掴む気持ちで高価なサプリメントを購入して飲まれているので、だめとは言えませんでした。色んな問題がこれにはあると思っています。過剰広告(がんが消える)、治験などをしていないのでエビデンスが無い(だから薬となっていない)、高額(保険がきいていない)、三段論法を使っている(サメはがんにならない、だからこのサメを人間が食べればがんにならない)などです。また今回の紅麹で健康被害にあった場合、国が保証する制度にのっとれるか不明です。薬局でのサプリメントや第一類医薬品、ネット販売、海外自己輸入などには、今後さらなる注意をしていただきますようよろしくお願い申し上げます。クリニック、病院、主治医らが責任をもってだす処方を、きちんと用法・用量を守って内服するのが肝要と思います。その場合は副作用がでたときは全力かつ全責任をもって対処いたします。