皆様は、漢方薬についてどのようなイメージを持たれていますでしょうか?おそらくあまり効果がなくて良いイメージが無い方、中国はあんまりと思って毛嫌いしている方、一方ですごく自分にあって良く効く、漢方薬は自然で安心というイメージという方もおられます。
私の意見は、患者さんによっては非常に良い薬であると考えています。きっちりと病名が確定し西洋の薬を飲んで、症状、病態ともきっちり治る方もおられますが、実際にはどこを調べても大きな疾患はないのに症状だけ長年苦しんでおられる患者様もおられ、後者の方には漢方治療をすると少しずつ症状が改善される方も多数経験しました。よって漢方は効果がある方には非常に良い薬と感じております。患者さんそれぞれの病態に合ったオーダーメイドの治療が漢方治療なのです。東洋医学的な見方(診断)をすれば、ほとんどの方に何かしらの偏りが見られます。その偏りを参考に、困っている症状や疾患にアプローチしていくため、様々な病態に対応できます。
特に漢方が得意だと思われる分野は、風邪や感染性胃腸炎などのウイルス性疾患、胃腸疾患(食欲不振、過敏性腸症候群、下痢、腹痛、膨満感)、冷えが関連する症状、月経関連疾患(月経痛、月経に伴う頭痛・にきび・イライラ)、ストレス性疾患などがあります。
漢方薬は植物や鉱物など自然なもので構成されており、より体に優しい治療ができます。よく世間では、「漢方は長く飲まないと効かない」というイメージがあるようですが、風邪などには30分以内、その他の疾患でも数日以内に効果が現れることも少なくありません。
漢方は西洋医学とは異なった視点でのアプローチですので、西洋薬で改善が乏しい例にも著効することや、一つの漢方薬でさまざまな症状が改善することもあります。もちろん西洋薬との併用も可能です。また、症状の緩和だけでなく、根本から治す体質改善の効果もあります。
漢方薬はいくつかの生薬を組み合わせてできています。たとえば慢性疲労で使用している補中益気湯は、オウギ、ソウジュツ、ニンジン、トウキ、サイコ、タイソウ、チンピ、カンゾウ、ショウマ、ショウキョウと10種類の生薬でできています。小児のひきつけ、ヒステリー様症状に用いる甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)があります。これは甘草、小麦、大棗の3種類の生薬でできています。前者の薬剤は多数の生薬が入っているため一個ずつの生薬が少なくしており、そのためすぐには効果がないですが様々な相乗効果があり、少しずつ効いてきますし、ある程度長期間飲んでいただきじわじわと効果がでてきます。後者の薬剤は生薬が少ないため一個の生薬が多くできるため即効性があるが長期間飲むと副作用がでてしまうという具合に使い分けをしております。
このように漢方医学の知識を生かし、処方薬を選択し治療を行っております。
注意点としては漢方薬は副作用が少ないと言われておりますが、ゼロではありません。副作用チェックとして、定期的に採血をさせて頂きフォローアップさせていただきます。また気軽にご相談ください。
漢方内科