脂質異常症について
- 2024年11月21日
- 内科
皆様、こんにちは。最近めっきり朝夕寒くなってきましたね。とういより今年は例年以上に暑い日々が続いたのでようやく過ごしやすい気候になってまいりました。秋は紅葉も美しく一番好きな季節です。家の近くの紅葉も毎年きれいに色づき家族で見に行くのを慣例にしております。私は紅葉が好きなので、クリニックのロゴにも紅葉をいれています。またご確認くださいね。
さて、本日は脂質異常症という生活習慣病のお話を少ししたいと思います。三大生活習慣病の一つで、日本人の5人に1人が罹患している病気で皆様御存知のことと思います。名称は様々な表現があり、高脂血症や高コレステロール血症、低HDL血症などありますがすべて同じ病気であり、放置していると、血管壁にコレステロール栓ができ、徐々にそれが血管下のところで隆起が大きくなり破裂しやすくなり、それが最終的に破裂し血栓ができるため、脳梗塞、心筋梗塞の原因となるため、予防としてコレストロール値をさげるというのが医学の一般的な常識となっております。一方で、その他の生活習慣病である高血圧、糖尿病と異なり、この疾患の患者様は、健診の異常などでもクリニックへ来られない方がたくさんおられたり、来院されても内服は希望しない、検査フォローも希望しない方が一番多いような気がしましたので、気になったので患者様に聞いてみたり、自身で推測をしました。2つ原因を推測しました。1つは他の疾患と比べて圧倒的に途中の症状が少ないことです。最終的には同じ梗塞などに帰結するのですが、経過に関しては、他の疾患は頭痛や倦怠感、足のしびれ違和感などがありますが、脂質異常症は本当に症状がありません。それが薬も飲みたくない、検査も不要と思っている方が多いのではないかと推測します。あと健診担当の先生が、(運動、食事、体重減少を頑張りなさい。以上。)と説明し数年放置をしていることが原因でしょう。しかし偶発症を軽減するためには血液検査を正常化することが必要であるため、頑張っている途中も採血などの介入は必要だと私は考えています。
あと1点は、複数の医師がコレステロールは下げなくていいという本やネットで訴えているからだと推測します。お一人は近藤誠先生、もうお一人は和田秀樹先生です。お二人共超有名な作家(医師?)です。近藤先生は慶應義塾大学の放射線科医師だった方で、(患者よがんと戦うな)で有名になりました。これが出版されたとき、信者の方がいっぱいおられて、がん治療をしている私達にとって大変な混乱が医療現場に巻き起こりました。患者さま、治療しないと最初に断言されるのです。それももちろんひとつの選択肢なのですが、たとえば、一般的な治療をすれば5年くらいは生きれたかもしれないのに、半年でお亡くなりになった方、数人いや10人以上みました。だいぶ前に拝読したので詳細は失念しましたが、癌末期の患者様を近藤先生は放射線治療医で治療していて、いつか死んでいく、必ず死んでいく患者さまをみて、治療しないほうが良かった、放射線治療の苦しさもあるからという理論なのでしょう。それは一理はありますが、医療の概念と異なることが2つあると思います。1年でも長生きすること、これは医学にとって非常に重要なことだと思います。患者様の家族も1年長く生きられれば、お話すること、なにか親孝行できること、伝えたいことなどたくさん時間が作れます。あっという間に死亡されるよりいいのではないかと思います。もう1つは、最終的に選択するのは本人および本人家族ですが、この著書は明らかに治療をしないことを強く薦めているのが問題と思います。医師の説明の仕方によっては、抗がん剤、放射線治療は副作用があります。かなりしんどいです。絶対にがんは治らない、少し延命するだけです(だからやめたほうがいいよ)。と説明することも可能ですが、がんは治りにくい病気ですが、少しでも小さくなるし、そうすれば痛みも改善しますし、予後が伸びます。現在は薬や医療の進歩もあります。チーム医療でやっていくのでご安心して治療をうけてください。(ぜひ一緒にがんばって治療して少しでも長生きして家族との貴重な時間を作ってください。がんという病気に立ち向かってください。応援しています)という説明も可能です。近藤先生の著書は明らかに前者だったので、この本を読んでいた方を説得、説明するのが大変時間がかかりましたし、治療しない選択する方もおられました。近藤先生の最近の著書に(あなたが知っている健康常識では早死にする)があります。内容は下記のとおりです。
塩分控えめは危険 コレステロール値は高いほど長生きできる ワクチンは打つな 人間ドックの害。。。。私からはこの件はノーコメントとさせていただきますが、、、、うーん。。。言葉がでてきません。
和田秀樹先生は、灘、東大理3現役合格した有名な精神科の先生です。彼の学歴について私が詳しい理由は私は大学受験や浪人生のときに彼の受験の本を愛読していただからです。すごく感動する受験本でした。やる気になれば東大医学部合格できるという内容でした。最近の彼の著書(60歳すぎらたコレステロールはさげないくていい)は私のある患者様がこれを読んで治療拒否している方が2人おられたので購入してすべて熟読させていただきました。以下、例をださせていただきます。
◯大谷選手は卵を毎食6個食べている。だから卵をいっぱい食べましょう。。。。。皆さん大谷選手みたいな激しいトレーニングはできません。
◯コレステロールを下げる薬は副作用が多い。。。。ある程度は確かにありますが、そこまで副作用が多いとも感じませんし、それ以上に心筋梗塞などの予防医学が大事です。
◯血管を強く太くするにはコレステロールをしっかり摂るのが正解だった。。。。間違っています。摂りすぎると血栓ができるのが世界の常識であり、たくさんのエビデンスがあるのに、彼の独断の意見と、都合の良い論文の引用が目立ちます。
◯サルコペニアやフレイルという痩せの方が最近の話題である。。。。大きな間違えではないですが、それとコレステロール値をさげないというのは話がすり替えられていますよ。
◯日本はがんで死ぬ国。コレステロール値を薬で下げる医療にこだわっているとがん死亡者が増えてしまう。。。。。がんは別問題。がんは早期発見や禁煙など、そして検診です。コレステロールを下げる治療をしているからこそ、心筋梗塞や脳梗塞の予後が伸びていて、最終的にはがんでお亡くなりになるのだと思いますがいかがでしょうか。
◯ラーメン、ピザ、コンビニ弁当、こってり系、肉肉しい系の食べ物を積極的にセレクトしよう。。。。。ここまでいうと殺人幇助罪になりませんか。和田先生。
◯私(和田先生)の中性脂肪値(正常値150mg/dl以下)はだいたい600mg/dl、LDL値(悪玉コレステロール:正常値140mg/dl以下)は200mg/dl。自身で人体実験をして長生きするかを確認している。。。。。。ここまでくるとすごい信念を感じます。頑張ってください。応援しております。でも他の患者様を人体実験しないでいただきたいです。
ここまで読んでいてなんとなく理解いたしました。100歳以上になり、十分に余生を全うしてもう治療をしたくない方はこの方法は良いのかもしれません。(100歳過ぎたらコレステロールはさげないくていい)とうタイトルがよいかと存じ上げます。
上記は和田先生の一人のご意見と経験です。医学は科学であり、多くのエビデンスのある論文が彼と反対のことが正しいと結論がでています。上記が本当ならば100年以上つづく近代医学の常識は覆りますが、残念ながらお一人の人体実験ではこれもまた証明できません。偶然という可能性もありますから。ぜひ和田先生の病院でこの研究をつづけて研究結果を世にだすというのも一つの新たな画期的な研究かもしませんが、良識ある方へは今はおすすめできないような気がいたします。また先生は有名人ですから、ご自身の発言、著書には責任を持っていただき、間違った情報、またはまだ不確かな情報を著名な医師として世にだすのは控えていただければ幸いです。(でも先日も徹子の部屋でておられましたね。拝見しました。)
以上今日の延々とつづいた愚痴ばかりのブログは終了します。明日は嫌なことが無い、いい日でありますように。