夏に流行する小児の水いぼについて
- 2025年8月3日
- 皮膚科
水いぼが流行する夏となりました。主に子どもに発生する皮膚感染症の一つで、ウイルスによって引き起こされます。 感染すると、皮膚の表面に小さなしこりが現れ、これが特徴的な「水いぼ」です。
「水いぼ」はウイルスによる感染症で、小児の約5〜10%が感染するとされる比較的ありふれた病気です。
見た目は肌色〜白色の小さなぷつぷつで、中央にくぼみがあり、水ぶくれのように見えるのが特徴です。
水いぼ自体は痛みはないものの、ときに強いかゆみを伴い、プールや兄弟間で感染が広がることもあり、保護者の方にとって悩ましい皮膚トラブルの一つだと思います。
下記の質問をよくいただきます。
登園、プールについてはどう指導したらいい?
保育園幼稚園学校への登園登校に問題はない。このことは皆さんご存じでしょう。では、プールは入れますか?という質問をよくうけます。プールの水で他人にかかるから(水いぼ)と命名されたくらいですから。
日本皮膚科学会から下記の統一見解がでています。
https://www.dermatol.or.jp/modules/publicnews/index.php?content_id=5
そこに、以下のような記載がある。
プールに入ってもいいの?
2) 伝染性軟属腫(みずいぼ)
プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することはできるだけ避けて下さい。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。
つまり軟属腫はプールには入ってもよい。ビート板、タオルなどの共用は避ける。ということです。ただ一つの水いぼがひっかいてつぶれると自家感染でどんどん増えます。経験上陰部や汗が多いところによくできます。兄弟姉妹でうつることも多々あります。
あまり本人は気にしていないことも多いですが親御さまから治療を希望されます。
水いぼの治療:取るか取らぬか。
摘除は直接ウイルスを取り除くため即効性が高く、短期間で治療可能なのが最大のメリットです。しかし、非常に痛い治療であり、数が多い場合は痛みが強すぎて対処が難しいことも事実です。皮膚科、小児科の先生方でも意見が別れます。私が宇治徳洲会病院で皮膚科の先生に外来で指導をうけていたときは、絶対取らないと指導されました。しかし滋賀守山の開業医の小児科先生に教えてもらっていたときは、広がらないように、また見た目をよくするために、家族感染しないように取るべきと教えてもらい、私も同じ意見でした。トラコーマ鑷子(せっし)という、専用のつまむ器具でちぎりとります。
しかし、実は放置してていても数ヶ月から1−2年くらいで自然免疫で治ることも多く、成人まで持ち越すことはほぼない、かつ摘除するのは麻酔テープ貼っても痛いです。
そこで、悩んでいましたら、その前述の守山の小児科先生から下記のクリームをすすめられました。水いぼ専用クリーム(m-BFクリーム)。最近は当院でもこのクリームをご提案しております。
・朝晩2回、少し水いぼより広めに伸ばして塗布
まだエビデンスは無いし、保険も通らないので自費診療となりますが、なにより痛くないのが良いとのおすすめをいただいたので現在2人の患者様に使用しております。
成分:抗菌作用のある「銀」を主成分に、高い保湿効果のある「サクラン」を配合した保湿クリームです。副作用は稀ながらかぶれです。重篤な副作用はありません。
mBFクリーム外用(痛みの少ない塗り薬治療) 3から6ヶ月程度根気よく塗り続けることで約8割の症例で水いぼが改善したとのデータもあります。
mBFクリーム(正式名称:3A M-BF CREAM)は、水いぼ(伝染性軟属腫)治療のために開発された世界初の専用保湿クリームです。主成分として銀イオンを配合し、これがウイルスに対して抗ウイルス作用を示します。銀イオンは古くから傷の消毒などに用いられてきた成分で、低濃度でも細菌・真菌・ウイルスを抑制できることが報告されています。
費用:自費診療 1本2,500円(税込み)
市販はされておらず、医療機関でのみ取り扱いとなりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
以前からの治療である一気に全てとれるいぼが取れてきれいになる摘除が希望であれば対応しておりますのでそちらもご相談ください。