コロナ第１１波について。
皆様、暑い日々が続いていますが、夏バテなどしておりませんでしょうか。本日は当クリニックでも増えてきた新型コロナウイルスとワクチンについて書かせていただきます。
毎年夏休みやお盆の時期は人の動きが激しくなり増加傾向ではありましたが、どうやら今年も同様になりそうです。７月21日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が13.62人で前の週の1.22倍となり、11週連続で増加しています（NHKニュースより）。
厚生労働省は「増加傾向が続いていて、これまでもお盆明けが感染拡大のピークだったことを踏まえると、今後も感染者が増えることが見込まれる」としています。
その原因とされているのが、現在流行しているKP.3株という新型コロナウイルスの変異株です。これは今までの流行しているオミクロン株の一種ですが、特徴としてKP.3株はワクチンが効果を示さない可能性があるため、抗体がききにくい可能性があります。KP.3株が自然感染の際につくられた抗体やワクチン接種による中和抗体に対して「高い逃避能を有している」といわれています（The Lancet Infectious Diseases：２０２４）。現在夏休みもうすぐお盆休み、５類感染に移行して混んでいるところでマスクをしていない方も増え、安心している時期だからこそ今回はかなり増え続けそうに感じまし、当クリニックでも毎日おおよそ１０人がコロナ抗原検査陽性となっております。
KP.3株について説明します。KP.3株は2023年１２月から主流株となっていたJN.1株の子株であり、その元はオミクロンBA.2系統の子孫株です。アメリカで最近大流行したのはKP.2でありKP.3とほぼ同種です。いずれもBA,2株の子孫です。コロナ系統樹（本ページ最下部参照）から考えると、今私も含めて接種しているコロナワクチンのXBB1.5は、もう少し前に流行したBA4.5からの派生ですので、ワクチン種も少しずれてしまっているような気もします。本来ならKP種またはJN.1または以前投与していたBA2がベストと思いますが、厚生労働省の命令でBA2などのワクチンはすべて破棄しておりますので、現在接種できるのがXBB1.5です。でもご存知のとおり、３－４ヶ月でコロナワクチン接種後の抗体は減少し続け、私達の経験では、約６ヶ月で抗体はほぼゼロとなります。よって、昨年秋接種でその後コロナワクチンはありませんでしたので今あるワクチンであるXBB1.5を接種するべきと考えてはおります。一方で、７月１９日京都市の発表で、秋の新型コロナウイルスワクチン接種の概要について発表がありました。その中でそのワクチンの接種種類は現在と同じ、XBB1.5とありました。
一方で２０２４年５月２９日、下記の報告が厚生労働省から発表されています。

（厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の小委員会は、2024～25年の秋冬の接種で使う新型コロナウイルスのワクチンについて、JN.1系統に対応する抗原を組む方針を決めた。WHOは、既に承認されている XBB系統の1価 ワクチンでも初期の JN.1 系統に対する一定の効果が期待される一方で、さらに変異が続くと発症予防効果が現状より弱くなる可能性があると言及しており、JN.1 系統のワクチンを推奨している。こうしたことから、小委員会は、国内でも今秋以降の接種に向けて、「JN.１系統およびその下位系統へのより高い中和抗体を誘導する抗原を組むこととし、その一例として1価のJN.1系統が考えられる」との見解を取りまとめた。JN.1系統のワクチンはまだ流通していないが、今後、各メーカーによる開発や承認申請が進み、秋に定期接種が始まる見通しだ）とあります。
京都市は秋に関しては先にXBB1.5と断言するのではなく、状況や薬の開発や承認をみて決定する　でよいのではないかと感じました。
いずれにせよ、身に危険を伴う暑さが続き熱中症で多くの方も来院されます。それと同じような症状のコロナ感染の方が増えました。気をつけてお盆、夏休みを過ごしましょう。
最後にもう一度おさらいで今流行のKP.3の特徴を記載します。
発熱、喉の痛みが多い。ときに下痢。味覚異常は少ない。意外と熱が無い方もおられる。
ワクチンの中和抗体をすり抜ける（ワクチンを複数回接種していてもかかる）
感染力がかなり強い
高齢者や未就学児より小中学生や高校生の感染者が多い

コロナ系統樹