脂質異常症 低HDL血症について part.3/3
- 2025年5月9日
- 内科
(part.2/3の続き。最終)
低HDLコレステロール血症の治療
低コレステロール血症の原因は、生活習慣が影響しているものが大半といわれています。この場合、HDL値を改善するのに生活習慣を見直すことが一番の近道です。
生活習慣を見直す
脂質異常症では生活習慣の改善が基本となります。食べ過ぎに注意することや食事のバランス、身体を動かすことなど生活習慣の改善に取り組むことで動脈硬化の予防につながります。
①食事療法
動物性脂肪、豚肉や牛肉や動物油、パーム油など飽和脂肪酸を控えることでLDLコレステロール値低下の効果が期待できます。一方で、極端に摂る量が少ないと脳出血が増えてしまうため、カロリーの4.5~7%程度が推奨されています。
飽和脂肪酸の代わりに青魚など不飽和脂肪酸を多く摂ることで動脈硬化の進行による冠動脈疾患の発症を予防することが期待できます。飽和脂肪酸を減らしてオリーブオイルやナッツなどの不飽和脂肪酸に置き換えることでLDLコレステロールや中性脂肪の値の改善につながります。
トランス脂肪酸はLDLコレステロール値が高くなり、HDLコレステロール値を下げてしまうといわれています。マーガリンやショートニング、それらを使った洋菓子やパン、加工品にはトランス脂肪酸が多く含まれる傾向にあるため注意してください。
伝統的な日本食は野菜や海藻が多いため、カロリーや飽和脂肪酸が抑えられており、不飽和脂肪酸を多くとることができるため理想的な食事といえます。
②運動療法
身体を動かすことは生活習慣病のコントロールにとても大切な習慣です。脂質異常症ではHDLコレステロール値の増加や中性脂肪値の低下、動脈硬化を予防することが期待できます。
有酸素運動が効果的といわれ、早歩きやゆっくりとしたジョギングなどを続けてください。少し息があがる程度の強度で、できれば毎日30分以上、毎日でなくても週3日以上、1週間で180分以上が理想的です。
③禁煙
生活習慣病のコントロールで禁煙はとても大切です。喫煙を続けることで動脈硬化を進行させてしまいます。脂質異常症においてはHDLコレステロール値を減らしてしまい、LDLコレステロール値と中性脂肪値を高くするといった影響がみられます。
④薬で治療をする
あくまで生活習慣の改善が基本ですが、それでも管理が不十分な場合には薬の治療も考えます。フィブラート系(パルモディア、べザトール、リピディルなど)やニコチン酸誘導体製剤(ユベラN)、EPL製剤(魚の脂などに含まれるEPA(イコサペント酸)から作られている。EPLカプセル)といった脂質異常治療薬は、肝臓での中性脂肪・リポタンパク質の合成を抑制し、LDLコレステロール値を低下させるとともに、HDLコレステロールを増加させる働きがあります。
上記治療を行いながら採血でフォローアップさせていただきますので、また月一回の採血をどうぞよろしくお願いいたします。