肥満について(疾患概念、用語編)|たきもと内科クリニック|京都市山科の内科・消化器内科・糖尿病内科

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肥満について(疾患概念、用語編)|たきもと内科クリニック|京都市山科の内科・消化器内科・糖尿病内科

肥満について(疾患概念、用語編)

皆様、こんにちは。今回は肥満について複数回にわけてブログでお話させていただきます。メインの治療に関しては次回に行いますのでまた読んでください。特に肥満の概念、治療はダイエットにも共通していますのでぜひ最後まで読んでください。

肥満とは、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数BMI25以上のものと定義されています。BMI=体重(kg/身長(m)×2乗。22が理想体重ですが、最近の論文ではもう少し高くてもよいのではということですがまだ議論中です。BMI25以上であっても若くて明らかに運動量が多い若い方もおられますし、逆にBMIが標準であっても筋肉より脂肪が多い隠れ肥満の場合もあります。よってその場合は生活習慣の問診や、体脂肪率を併用します。体脂肪率が男性1520%、女性2025%が普通、男性25%以上、女性30%以上で肥満と判定されます。当院でも気軽に測れますのでおっしゃってください。

肥満の体系には3つあるのをご存じでしょうか。

  • リンゴ型肥満内臓脂肪型

お腹周りに脂肪がつき、まさしくビール腹と言われるなど中年男性に多い太り方をいいます。比較的男性に多いタイプ内臓まわりに脂肪がつきます内臓脂肪は蓄積されるスピードが早く、分解されるのも早い脂肪です。有酸素運動(ウォーキングなど)を適度に行い、適度な食事制限を行えば、比較的速やかにダイエット効果が得られます。

しかし内臓脂肪の蓄積は、動脈硬化、高脂肪血症、高血圧などの生活習慣病に直結しますので、蓄積された脂肪は早めに改善しましょう。

②洋ナシ型肥満皮下脂肪型

下腹部・お尻・腰回りに脂肪がつき、「洋梨のような体型」になっている状態を指します。比較的女性に多いタイプで皮膚のすぐ裏側に脂肪がつきます。皮膚のすぐ裏側につく脂肪で、外見にも目立ちやすい脂肪です。脂肪が分解されるまでに時間がかかるため、運動や食事制限をしてもすぐにダイエット効果が現れません。マッサージなどの適度な刺激を加えること、マッサージで血行を促すと同時に、運動と食事制限を続ければ徐々に効果が現れます。具体的な方法としては、運動は有酸素運動(ウォーキング)と無酸素運動(筋トレ)を組み合わせて行うのがより効果的です。

一方内臓脂肪よりも緩やかな速度で病気を進行させると考えられています。しかし、放っておくと病気に発展しやすいことには変わりありません。

③バナナ型肥満 ‐ 脂肪・筋肉が少ない痩せ型

一見スタイルが良く見えがちですが、筋肉が少ない為一度太ると痩せにくいタイプです。日本人の約6人に1人の割合で当てはまるといわれており、年齢を重ねるごとに痩せにくく太りやすくなることが特徴的です。偏食が多い方に多くみられます。また、BMIでも体脂肪率でも肥満ではないのに、何らかの原因で内臓脂肪を溜めやすく、お腹全体がバナナを思わせる緩やかな曲線を描く場合も。肥満ではなくとも、筋肉が少なく痩せにくいので油断はできません。たんぱく質を素早く代謝するため筋肉がつきにくく、太ると痩せにくいのが特徴のバナナ型。まずは筋肉をつけるためのトレーニングとたんぱく質多めの食事が必須です。

日本人の肥満タイプの割合は、リンゴ型が21.8%、洋ナシ型が56.8%、バナナ型が16.9%、その他が4.5%です。

以下用語についての説明です。混同しやすいしややこしいので流してくださって結構です。

肥満はBMI25以上の方です。肥満症は、肥満(BMI25以上)かつ肥満による以下の11種の健康障害が1つ以上あるか、健康障害を起こしやすい高リスク肥満がある場合に診断され、減量による医学的治療の対象になります。

健康障害とは。

1) 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など)

2) 脂質異常症

3) 高血圧

4) 高尿酸血症・痛風

5)心筋梗塞・狭心症

6) 脳梗塞: 脳血栓症・一過性脳虚血発作 (TIA)

7) 非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)

8) 月経異常・不妊

9)睡眠時無呼吸症候群 (SAS)

10)変形性関節症 (膝・股関節)・変形性脊椎症

11) 肥満関連腎臓病

健康障害を伴いやすい高リスク肥満とは。

腹囲(=ウエスト周囲長)のスクリーニングにより内臓脂肪蓄積を疑われ、腹部CT検査によって確定診断された内臓脂肪型肥満(前述のリンゴ型肥満)です。

メタボリックシンドロームは、近年注目されている過剰な内臓脂肪蓄積です。BMI25未満でも、腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合で、血圧、血糖、血清脂質のうち2つ以上が基準値から外れると診断されます。心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる動脈硬化性疾患を引き起こすリスクが高く、早期の内臓脂肪を減らす対策が必要です。

腹囲(=ウエスト周囲長)とウエストはどちらもお腹まわりのサイズを示す数値ですが、実際は異なる部位を測っています。腹囲は「へその高さで測る腰まわりの大きさ」を指します。特定健診などで測定するのはこちらです。一方、ウエストは「腰の一番くびれている部分の大きさ」で、洋服のサイズなどで使用します。

医学用語の定義などはすこしややこしかったですね。次回は肥満に対する食事や運動の話、その後治療法のお話をさせて頂きます。